前回のコラムでは、これからの企業成長にはシステムなどの「仕組み」だけでなく、「人」や「組織改編」への投資が不可欠であるとお伝えしました。しかし、「人への投資」に本気で取り組もうとする経営者様の前に、必ずと言っていいほど立ちはだかる現実的な壁があります。
それが、「せっかく時間やコストをかけて育成したのに、一人前になった頃に辞めてしまう」という問題です。

■ 「育成しても辞めてしまう」は半数以上の企業の悩み
これは決して、貴社だけの悩みではありません。
厚生労働省の「2024(令和6)年度能力開発基本調査」によると、人材育成や能力開発に関して「何らかの問題がある」と回答した事業所は約8割(79.9%)に上ります。そして、その問題点として「指導する人材が不足している」(59.5%)に次いで、「人材を育成しても辞めてしまう」が54.7%という高い割合を占めているのです。
なぜ、人は育ったあとに離れてしまうのでしょうか。
賃金や待遇の改善ももちろん重要ですが、それだけでは心の奥底にある「ここで働き続けたい」という本質的な動機には繋がりません。

■ 鍵は「自己を表現できる場」があるかどうか
キャリア発達理論の世界的権威であり、「自分はこういう人間だ」を仕事で表現する、としたドナルド・スーパーは、次のような命題を残しています。
「職業満足や生活上の満足は、個人の能力、欲求、価値、興味、パーソナリティ特性、自己概念を適切に表現する場をどの程度見つけるかによって決まる」。
つまり、研修などでスキルを身につけさせても、日々の業務の中で「自分らしさ」や「強み」を発揮し、それが組織から承認されているという実感が持てる環境がなければ、人は仕事に満足できず、やがて心が離れてしまうのです。

■ 企業が求める「チームワーク」は、同調ではなく「違いを活かす」こと
同調査では、企業が50歳未満の正社員や非正規雇用の労働者に対して、企業の発展にとって最も重要と考えるスキルは「チームワーク、協調性・周囲との協働力」であるという結果が出ています。
しかし、ここで言う「チームワーク」を、「みんなが同じように考え、はみ出さずに動くこと」と勘違いしてしまうと、組織は息苦しくなります。真のチームワークとは、個々の「違い」や「才能」を認め合い、お互いの強みで弱みを補完し合う関係性のことなのです。
■ 内的欲求を満たす「豊かな土壌」が自走型組織を創る
人が定着し、さらに主体的に動く「自走型組織」を創るためには、目に見える制度やスキル研修という「枝葉」への水やりだけでなく、根底にある「豊かな土壌」を整える必要があります。
株式会社おのおのでは、8つの才能に基づく組織診断を通じて、社員一人ひとりの強みや可能性を可視化し、客観的に把握することから始めます。そして、才能を発揮してチーム力の向上、組織開発の専門家を通じて、個人の「存在承認欲求」や「貢献感」といった内的欲求を満たしていくアプローチを行います。

「自分の才能や強みを活かせている」
「自分とは違う価値観を理解し、尊重してくれる仲間がいる」
このような心理的安全性の高い土壌があって初めて、社員の心に火が灯り、やらされ感のない挑戦や創造が生まれます。
「人を育てても辞めてしまう」という負のスパイラルから抜け出すために、まずは、貴社の組織が、社員にとって「自分の才能や自己概念を適切に表現できる場」になっているかどうか、私たちと一緒に見つめ直してみませんか?
次回のコラム
「豊かな土壌」は、どうすれば社内に作ることができるのでしょうか?
次回のコラムでは、社員一人ひとりの才能を可視化し、それを日常の業務やコミュニケーションに落とし込むための「具体的なステップ」に踏み込みます。
お金をかけてシステムを導入する前に知っておきたい、自走型組織をつくる“最初の一歩”を公開します。お楽しみに!

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