「仕組み」を変えても「人」は変わらない? 日本企業に足りない“最後のピース”


近年、テクノロジーの進化や少子高齢化など、社会構造はこれまでにないスピードで大きく変化しています。こうした激しい環境の変化のなかで、企業が生き残り、成長し続けるためには、労働力需要に応じて「組織のあり方」を柔軟に変化させる機会がますます増加していくと予想されます。

しかし、「新しいシステムを導入したのに現場がうまく回らない」「時代に合わせて組織を変えたいが、なかなか変革が進まない」と頭を悩ませている経営者の方の声も耳にします。

この違和感の正体は、実は日本の構造的な課題にありました。

■ 欧米諸国に大きく水をあけられている「経済的競争能力」

厚生労働省の『令和7年版労働経済の分析』には、衝撃的な事実が記されています。
企業の生産性を高める「無形資産(ソフトウェアや研究開発など)」への投資において、日本は米国、英国、ドイツなどの諸外国と比較し、極めて低い水準にあります。

特に深刻なのが、社員教育などの「人的資本」や、社内制度をアップデートする「組織改編」への投資です。

米国では新しいITシステムを入れる際、それに合わせて組織の形そのものを柔軟に作り替えます。
一方で日本は、「今の組織のやり方のまま、システムだけを特注して合わせようとする」傾向が強いのです。
服に体を合わせるのではなく、古くなった服に無理やり最新の継ぎ接ぎをしている状態……
これでは、組織のポテンシャルは引き出せません。

■ 「人」への投資は、コストではなく「未来への投資」

システムを動かすのは、どこまでいっても「人」です。
新しいプロセスを受け入れ、使いこなし、そこから新しい価値を生み出すのは、現場の一人ひとりのスキルとマインドに他なりません。

環境の変化に合わせて組織をしなやかに変化させるためには、目に見えるハードウェアへの投資と同じ、あるいはそれ以上に、「従業員の教育訓練」や「組織改編」という見えない資産に光を当てる必要があります。

「人への投資」を惜しまないことは、変化に強い、つまり「折れない組織」を作るための最短ルートなのです。

■ 未来への一歩

持続可能な会社の成長を目指す道のりも、次世代に大切な組織を繋いでいく道のりも、決して平坦なものではありません。
現場は常に複雑で、理屈通りにいかないことの連続だと思います。

だからこそ、あえて立ち止まって考えていただきたいのです。


「社員と一緒に5年後の景色を笑顔で見つめられているだろうか?」と。

システムの導入はゴールではなく、社員の皆さんが本来の力を発揮し、変化を恐れずに自らをアップデートしていける環境を整えるための「はじまり」に過ぎません。
その環境を整えることこそが、今の激動の時代において、何より確かな「経営の軸」になると信じています。

とはいえ、経営者様にとって最大の悩みは「せっかく投資して育てた人材が、辞めてしまったらどうするのか」という点ではないでしょうか。

「教育をしても人が離れてしまう」という、綺麗事だけでは済まないこの切実な問題については、次回のコラムで深く掘り下げていきたいと思います。

まずは一歩。貴社の未来を創る「人への向き合い方」を、私たちと一緒に見つめ直してみませんか。

問い合わせはこちら

この記事を書いた人

アバター画像

黒井 洋代